【Feature】THE LAUNDRIES 最高傑作 “Synanthrope” 発売を前に

laundries“ネオ・アコースティック”…その言葉から “渋谷系” を連想する方も多いのではないだろうか?90年代初頭にフリッパーズ・ギターを中心に吹き荒れたこのムーヴメント、その図式が定着していた1999年、トラッシュキャン・シナトラズ “Who’ s He” の日本語カバー “Sinatra`s Joke”で登場したTHE LAUNDRIES。その“渋谷系”とは一線を画した日本発のネオアコ・サウンドはシーンに驚きを、そして、ネオ・アコースティックの本質へと目を向けさせる着火点にもなった。その後の2003年、満を持してリリースしたファースト・アルバム「THE LAUNDRIES」は洋楽一辺倒のリスナーにも衝撃を与え、10年の時を経て、2013年8月にリリースした2nd アルバム「NATALIE」で、その評価を確固たるものとしたTHE LAUNDRIES。待望の新作「Synanthrope(シナントロープ)」は、各方面で発売前から”最高傑作”との評判が湧き上がっている。

発売を間近に控えた今、ギターの遠山氏のコメントとともに、このアルバムに迫ってみたー

 

《アルバム・タイトル「Synanthrope(シナントロープ)」の意味》

「 「自然界の報道写真家」宮崎 学氏のインタビューでこのSynanthrope(シナントロープ)という言葉が出てきて、調べたところ”人間社会の近くに生息し、人間や人工物の恩恵を受けて共生する、野生の動植物を指していう。人工物には、庭、公園、田畑等も含まれる”とされていました。僕らの音楽に当てはめて考えてみると、”先人の素晴らしい音楽を模倣しながらも生み出す楽曲。何かに誰かに依存しつつも続けているバンド。そんな泥臭く続けているバンド。そしてこれからもしぶとく生き残っていくバンド。”こんなことが想像できて、僕らにぴったりなタイトルかな、と思ってつけました。」(遠山)

《幅広い楽曲群》

「幅広い楽曲とアレンジを意識しました。時に、ギターポップやネオアコと言う括りの中では、ダサいとされる音の表現も怖がらずに真正面から鳴らしてます。より一般層に届ける事。そして欲張りですが「音楽好き」にも納得して貰う作品にする事。「わかる人に届けば良いや」と言うのは、今回は逃げと判断しました。」(遠山)

《サウンドへのこだわり》
「サウンド的には、レンジの広さを意識してます。今回からキーボードが加入したので、その強みを活かし色彩を豊かにしました。ヴォーカルマイクは曲毎に選定。ギターアンプはフェンダーのツインリヴァーブとコッホのコンボアンプを使い分ける等々、その辺の音作りも聴いて頂きたいポイント。そして1番時間を掛けたのが、ボトムを支えるリズム隊の録音。その為、一音一音の説得力や引き締まったノリが生まれたと思います。」(遠山)

「何故Modernを先行にしたかと言うと、今までのlaundriesに無かったタイプのストレートなロックでありながら、紛れもなくlaundriesのサウンドをメンバー全員感じたので。そして全12曲をミキサーにかけて混ぜて合わせると、このModernが聴こえると思います。」(遠山)

SynanthropeTHE LAUNDRIES「Synanthrope(シナントロープ)」
発売日:12月7日
レーベル:dog and me records
収録曲
01. Go Go
02. The Engine
03. Modern
04. Vision of Love
05. Harmony in the Chaos
06.Freedom
07. Reel Around the Station Square
08. Howdy!
09. Teenage Song
10. Colour of My Soul
11. Balance
12. Angelfish

《プロフィール》
1992年、10代の頃の海外生活でネオ・アコースティックサウンドから大きな影響を受けたヴォーカルの木村孝之がアズテック・カメラ、ザ・スミス、フェルト、ペイル・ファウンテンズなどのバンドをコンセプトにメンバーを集め、都内のライブハウスで活動開始。
1999年、ビクターエンタテインメントからリリースされたコンピレーションアルバム「Rabid Chords Vol.1」に参加。
トラッシュキャン・シナトラズ “Who’ s He” の日本語カバー “Sinatra`s Joke” が収録される。これをきっかけに、トラッシュキャン・シナトラズとの交流が始まる。
2003年3月1st アルバム「THE LAUNDRIES」リリース。そして10年の時を経て、2013年8月2nd アルバム「NATALIE」リリース。楽曲制作と並行してライブ活動も、積極的に行う。日本のインディーシーンを牽引する「Power Pop Revival」、新潟のポップスシーンを彩る「音楽百景」など幾多のイベントに出演し、多くのギターポップ、ネオアコ関連のバンドと交流を深める。
2016年7月「FUJI ROCK FESTIVAL ’16 RED MARQUEE」トラッシュキャン・シナトラズのステージに、ベースでマルチプレイヤーである吉田テリー慈がトランペットで参加し話題となる。そして 今年12月7日に3年半ぶりとなるニュー・アルバム「Synanthrope(シナントロープ)」リリース決定。今アルバムからキーボード久行望が加わり 5 人編成に。アルバム制作では強力なエンジニア 2 人(元オンエアースタジオチーフ山田晋平と中島 美嘉担当エンジニア藤田敦)に山下達郎でおなじみのマスタリング界の重鎮(原田光晴)が担当し充実のアルバムに。来年 2017年はバンド結成から四半世紀にあたる25周年。さらなるプロジェクトが計画中である。
THE LAUNDRIES official website http://the-laundries.jimdo.com

《推薦文》
胸の奥にしまってある郷愁をぎゅっと掴まれるようなメランコリックなメロディーに乗せて描かれる、大人の青春。特に”Teenage Song”の瑞々しさよ!クールな佇まいの奥に見え隠れする少年の純粋な青さ…そう、彼らの青さには覚悟がある。だから僕の琴線を捉えて離さないのだ。やはりザ・ランドリーズは、どこまでも凛々しく清廉だ。
時間をかけて丁寧に紡ぎ出されたサウンドは、言わずもがなの説得力。僕が思うザ・ランドリーズとは、渋谷系の喧騒には目もくれず、ただひたすらに信じる音を追求してきた硬派なバンドなのだが、今作では本質はそのままに、より柔軟性が増したように感じる。なかでもポスト・ロック的なアプローチが光る”Balance”などは、新境地ともいえるだろう。
ネオ・アコースティックという大地にしっかりと根を張り、貪欲なまでに枝葉を伸ばし続けるザ・ランドリーズ。彼らはまた一歩、頂へと近づいたようだ。
森 裕之(BOYS ON THE BEACH / STARTRIP)