【Interview : 日本語】The Legal Matters – Chris Richards, Andy Reed, Keith Klingensmith

legalmatters4Chris Richards、Andy Reed、Keith Klingensmith…稀代のメロディーメーカーが結集し、2014年にリリースしたファースト・アルバム『The Legal Matters』は、世界中のポップ・ロック、パワーポップ愛好家から賛辞が送られました。あれから2年、再び集まった3人が作り出したアルバム『Conrad』は、前作を凌ぐ完成度で、再びファンを、そして音楽シーンを驚かそうとしています。彼らの出会いから最新作のレコーディング秘話などに迫るインタビュー、どうぞお楽しみください。

ー今回のインタビューで初めてあなたのことを知る新しいファンもいるかと思いますので、まず最初に簡単なプロフィールからお聞かせ下さい。
Chris: The Legal Mattersは、ポップスに深く根ざした作品を作ることが好きな3人のソングライターが集まった、ボーカルとハーモニーが魅力のバンドだよ。
Keith: 私たちはギターとハーモニーに心底惚れてる3人組、The Legal Matters!ー結成のいきさつ、バンド名の由来は?
Chris: 2012年にThe Phenomenal Cats(キースとクリスのバンド)の延長線上としてスタートしたんだ。元々、曲を書き始めたのは2014年にリリースしたアルバム『The Legal Matters』の為だったんだけど、このバンドは素晴らしいアーティスト、アンディ・リードがいる全く別のバンドなんだと、気づいたんだ。だからバンド名を変えることにした。The Legal Mattersという名前は、アンディがThe Whoの曲 “A Legal Matter” から思いついた名前。3人ともThe Whoは大好きだし、響きも良いだろ?

ー結成当初からパーマネントな活動を想定してたのでしょうか?
Andy: このバンドは大きな可能性を秘めてスタートしたことは間違いない。現にファースト・アルバム発売後には、たくさんの賛辞をいただいたしね。その後、別々の活動もあったけど、より強い結束の元に集まり、再び走り始めたんだ。これからはずっと、この3人で音楽を作り続けていくつもりだ。あくまでもリラックスして気楽にね。
Keith: 私たちは当初、それぞれサイド・プロジェクトとして想定していたような気がする。でも、今はこのバンドに全力を注いでいるよ。20枚以上のアルバムを作る気満々さ!

ー3つの言葉でThe Legal Mattersを表現すると?
Chris:Harmonious」「Melodic」「Adventurous」
このバンドの根幹となっているのがボーカル・ハーモニー。私たちが一緒に歌うと、お互いを邪魔することなく本当に気持ち良く混ざり合うんだ。ハーモニーとメロディーは密接な関係があって、この2つが綺麗に合わさると思わず口ずさみたくならない?まるで、ハーモニーとメロディーが結婚したかのような魔法は、私たちより以前のたくさんの素晴らしいバンドが実証しているよね。冒険好きで新しいものを試す勇気を持つことは、アルバムを買ってくれる人々の為にも、私たち自身にとっても必要なこと … 過去の作品にしがみつくなんて、つまらない…時間がかかっても、挑戦した方が楽しいことがいっぱいだ。それが、より良い作品作りに繋がっていくとも思うしね。
Andy: 「Courageous」「Humorous」「Therapeutic」
このバンドは私の音楽的なチャンスの扉を開いてくれるんだ。私たちに限界はない。それに、2人の最高の友と一緒にアルバムを作れるなんて最高だよ。
Keith:Songwriting」「Harmonies」「Laughs」
彼ら2人は私が知っている中でも最高のソングライター。彼らの曲に一緒に命を吹き込めるなんて光栄だよ。それに、この3人でのボーカル・ハーモニーほどエキサイティングなことはないね。

ーミュージックビデオや写真、そしてサウンドから、リラックスした雰囲気と仲の良さが伝わってきます
Chris: そうだね。一緒に曲を書いたり歌ったりする時は、自分のエゴなんて二の次。「自分がどう思う」ではなくて「何が3人にとって最高なのか」を常に第一に考えているんだ。バンドってそういうものだろ?実際、このバンドはレコーディング後のビールから始まってるしね!3人で連むのも大好きだよ。ときどき面倒くさいけど笑。
Andy: このバンドが私たちをより深く結びつけてくれた。音楽制作を通して、ファミリーになったんだ。
Keith: え?そう?笑

ーアルバムについてお伺いします。今作の構想や曲作りはいつ頃から?
Chris: ファースト・アルバムをリリースしてすぐに、セカンドのプランを練り始めたんだ。ファーストは録りに6日間、そしてミックスなどに2、3ヶ月かけたんだけど、『Conrad』は、2日間のセッションを数ヶ月のうちに何度か行うという、前作とは違う方法でレコーディング作業を進めていったんだ。こうすることで、じっくりと各曲の構成を練ることもできたし、楽曲自体も増えたよ。
Andy: ファーストがうまく行ったことで、セカンドはよりリラックスしたアプローチを取ることができた。前作を通してお互いに大好きな音楽を深く知ることができたし、バンドとして成長した。『Conrad』で、”The Leagl Matters”というバンドを確立できたと感じている…そう信じてるよ。

ー前作との1番大きな違いは何だと思いますか?
Chris: 1番は「自信」かな。私のソングライティングには、作詞も作曲も波があるように感じているんだ。時に楽曲の方向性が見えなくなって自信を失ったりしてしまう。今思えば、ファーストは『Conrad』への試金石だったような気がする。歌とハーモニーをもっと向上させなければ、と感じたんだ。
Andy: バンドとしてのあり方がわかってきたっていうのが大きいね。ファーストの頃より明確なビジョンで制作できたと思う。
Keith: ファーストはシングル・コレクションのようだった。『Conrad』はアルバムとしての完成度が格段に増したと思うよ。

ープロデュースもバンド自身で行ってますが、レコーディングは順調に進みましたか?苦労した点などありましたか?
Chris: この辺のことはアンディに聞いた方がいいね。彼がアルバムに輝きをもたらしてくれたんだ。妥協は一切しない彼が、各曲に彩り豊かな魔法をかけて最高のきらめきを与えてくれた。まったく驚くべき才能の持ち主だよ。
Andy: このアルバム、技術的にはとても簡単な作業だった。何よりも楽曲が素晴らしかったからね。前作よりも開放的なサウンドになったと思うんだけど、どう?1番大変だったのは “I’m Sorry Love”。この曲のミックスは苦労した。お気に入りの曲だったから特にね。Trident A-Range(イコライザー)を通してみたら、それがすごく良くて、結局全曲で使ったよ。このアルバムで聴けるサウンドには誇りを持っているー各曲すばらしいのですが、曲順も完璧ですね。曲順はどうやって決めたんですか?
Chris: 良い質問だね。私たちはそれぞれ過去に何枚かアルバムを出しているので初めてではないけど、今作はシンプルな11ピースのパズルみたいで、ぴったりとハマったんだ。どのバンドもそうだと思うけど、曲順決めるのって楽しいよね!
Keith: 曲順にはそれぞれこだわりがあって、若干の違いはあったけど、今はこの曲順が完璧だと思ってるよ。アンディが正しかったってことだね。

ーあなた達の特徴の一つに、息の合った3人のハーモニーの美しさが挙げられます
Chris: 私たちはハーモニーが大好きなんだ。これがないアルバムなんて想像できないよ。
Andy: ある意味、楽器みたいなものだよ。ハーモニーは、ギターやベース、ドラムと同じくらい重要なんだ。
Keith: 何よりも大切!

conradーアルバム・タイトル『Conradの由来は?
Chris: アルバム・ジャケットのコアラの名前だよ。みんなが気に入るようなタイトルにするのって、考えるのも大変だよね。私たちはベイシティースタインハウスっていうバーでビールを飲みながらミーティングをすることが多いんだ。本当に落ち着いて話せるバーで、The Legal Mattersもここから始まったんだ。しょっちゅう通っているから、バーテンダーともすっかり仲良くなってね。その中の1人にKonradっていうレジェンドがいるんだ。そしてある時、シャツを着ている動物の写真を撮る写真家の作品に出くわしたんだけど、その中の1枚にアロハ・シャツを着たコアラの写真があってさ。そこからConradって言い始めたって訳さ!

ーそれぞれ、曲作りの秘訣や心がけていることはありますか?
Chris: とてもオーガニックなプロセスで、曲が私に降りてくるような感じなんだ。考えすぎだと思ったら、壊してしまうよ。
Andy: ふと浮かんでくる曲と歌詞とをマッチさせることが1番重要だね。いろいろな方法を試したりするんだ。正解は1つだけではないからね。普段は好きなメロディー・ラインとコード進行から始めることが多いかな。
Keith: アンディとクリスの足元にも及ばないよ。彼らは多作だしね。それに、私がセッション用に曲を持っていくと、いつも私の想像を軽く超える素晴らしい曲に仕上げてしまうんだ。ーアルバムを通してパワフルかつクリアなギターの録り音がとても印象的です。録音時のギターの音作りについて注意点などありますか?
Chris: アンディ、任せた!
Andy: ありがとう。ギターは声にも打楽器にもなるんだ。歌詞をサポートしたり、リズムのグルーヴを出したり、様々なフィーリングを表現できる楽器さ。私たちはユニークなサウンドを考えるのが大好きだ。曲に合うトーンを探すことは大変だけど、1度それを見つけてしまえば、鬼に金棒だよ。

ーレコーディングで使用した主な機材を教えてください
Chris: これもだね。アンディ?
Andy: オッケー。マイクはSHUREのSM57s、NUEMANNのU87sとU47s、Coles 4038s、AKG D19s、あとはまぁいろいろだね。マイク・プリとコンプはNeve 1073s、Redd 47s、Tridents、Focusrite ISA Ones、1176s、LA4s、Distressors。レコーディング・ソフトはプロ・ツールス。たくさんのプラグインとエフェクトを使って、時代を超越した名サウンドをブレンドできるなんて素晴らしいことだよ。

ー今作の聴きどころを教えてください
Chris: 個人的なフェイバリットは、アンディ作の”Short Term Memory”。フックの効いた良い曲だよ。しかも、三声のハーモニーが本当に素晴らしいんだ!あと、”Pull My String”のボーカルも良いね。これは私たちが試みた中で最も冒険的。本当にアメイジングな曲だ。
Andy: “More Birds, Less Bees”だね。クリスは宝石のような素晴らしい楽曲をたくさん提供してくれた。私にとっては、まるで小さなシンフォニーのような感じだよ。この曲のレコーディングは、まさしくチャレンジの連続だった。おかげでバンドの奥深さと能力の高さを示すことができた。迷わずフェイバリットに選ぶよ。
Keith: “Anything”。畏敬の念すら抱いてしまうよ。最上級のポップ・ソングだ。

legalmatters3ー音楽産業は以前とは比べものにならないほど変化しました。国境も言語も関係なく、誰もが世界中の聴衆に自分自身の音楽をアピールできる時代です。この変化をミュージシャンとして、どう感じていますか?そして、この変化はあなたに何をもたらしたでしょうか?
Chris: ファンになってくれそうな人々の注目を集めることは、以前より難しくなった。ソーシャルメディアは、プレミアム料金を支払わなければメッセージを公開しないという方法を編み出したからね。だから、口コミに頼らなければならない。ブログは紙媒体に取って変わったメディア。しかし、インターネットでファンになってくれそうな人々にアプローチするには、まだまだ多くのオプションや問題があることも事実。Omnivoreと契約したことは私たちとファンとをつなぐ架け橋になってくれると思う。Omnivoreは、Jellyfishやthe Posies、Big Starなど、私の大好きなバンドのリイシューやリリースをしている素晴らしいレーベルなんだ。ー上の質問とも関係あるかもしれませんが、キースはインディーズ・レーベルFutureman Recordsを運営していますね
Keith: そう…本当のことを言うと、現在はFuturemanの運営よりもバンドを優先しているんだ。もちろん、レーベルには誇りを持っているし、年に2、3回はFMの計画もある。Futuremanは1999年に『The New Sell Out』というThe Whoのトリビュート・アルバムを出す為に始めたんだけど、デジタル時代になりbandcampが登場するまで全くお金にならなくて、お蔵入りになっていたんだ。その後、私は、廃盤になっているけど、デジタル化されていない隠れたポップ・レコードの名盤というニッチな市場があると気がついた。アーティストに連絡し、未発表曲などを探してもらった。私はすべての時間を費やして、みんなが大好きだったレコードを再び世に送り出すことが出来たんだ。とても充実した気分さ!それから、The Legal Mattersのファーストも、Futuremanからリリースしているよ!

ーもしも無人島に5枚持っていくとしたら?
Chris: え?たった5枚だけ?
The Kinks『Arthur
レイ・デイヴィスのベスト作品だね。信じられないくらい素晴らしい。コード進行もすごいし、全体的なコンセプトも想像を遥かに超えているよ。キンクスはいつだって私のフェイバリットの1つだ。
The Who『Sell Out』
ピート・タウンゼント絶頂期の作品。最初から最後まで完璧なアルバム。
George Harrison『All Things Must Pass
ジョンとポールという不世出の才能、その影に隠れがちだったジョージが、ビートルズという呪縛から解き放たれ、真価を発揮した紛れもない傑作。生涯聴いたアルバムの中でも劇的な作品の1つ。
Nick Lowe『The Jesus of Cool
ピュアな喜びに満ちたアルバム。ニックが当時聴いていたThe Sonicsの影響がはっきりと伺える(まるで彼がエルヴィスの為に制作したかのよう)。真の天才だね。
Paul McCartney『Band on the Run
初めて”Jet”を聴いたのは9歳の頃。夢中になったよ。このアルバムで聴けるメロディーは、ビートルズ時代の素晴らしい作品に匹敵するよ。
Andy:
Brendan Benson『Lapalco
ブレンダンがこのアルバムを制作していた頃、私はバンド・メンバーの一員だったんだ。だから、たくさん聴いた思い出がある。彼はレコーディングやプロダクションについて、いろいろ教えてくれたんだ。今でも感謝しているよ。
Elliott Smith『XO
いつ聴いても “完璧” なアルバム。美しさの象徴だね。
Weezer『Blue Album
このアルバムを聴いて、ミュージシャンになりたいと思ったんだ。完璧な1枚。言うことなし!
The Beatles『White Album
ビートルズの作品の中で最も大胆なアルバム。音楽的には散漫なのに大好きなんだ。すべてのアルバムが見習うべき作品だよ。
Harry Nilsson『Nilsson Sings Newman
ハリーが大好きさ。彼の声も歌い方もね。
Keith:
The Beatles『Revolver』
ビートルズという最も広大な山の頂に君臨する作品だね。
Beach Boys『Pet Sounds
永遠に私のフェイバリットだ。
Elliott Smith『XO
時にエリオットは最高のやり方でハートをえぐってくるんだ。
The Who『Sell Out
クリスと重なったね。完璧なアルバムだよ。
Andy Klingensmith『Bright Again
愛すべき息子の作品なんだ。永遠に聴き続けるよ。

ー今後の活動予定を教えてください
Chris: 正直言って、何も決まってないんだ。でも、私たちは応援してくれているみんなのところに行きたいと思ってる。日本のポップ・ファンは、The Legal Mattersや私のソロをとても温かく応援してくれているって知っているよ。いつか必ずギターを持って日本に行くからね。
Keith: JAPAN!

ー最後に日本のファンにメッセージをお願いします
Chris: 私たちのアルバムを聴いてくれて、どうもありがとう。世の中に数多くある素晴らしいアルバムの中から選んでくれるなんて、本当に光栄。心から感謝しているよ。『Conrad』楽しんでね!
Andy: 聴いてくれてありがとう。楽しんでくれていることを心から願っているよ。
Keith: みんな愛してるよ!日本に行ったらライブで会おう!

The Legal Matters official web http://www.thelegalmattersband.com