【Interview : 日本語】TUNS -Chris Murphy, Matt Murphy, Mike O’Neill

SloanChris MurphyThe Super FriendzFlashing LightsMatt MurphyThe Inbredsの他、ソロとしても活動しているMike O’Neill、キャリア豊富な3人のベテランが結成したTUNS。まさにカナダのインディーロック界が誇るスーパーグループ!その魅力に迫る!ーSTARTRIP独占インタビューです。

photo by Vanessa Heins
photo by Vanessa Heins

ー今回のインタビューで初めてTUNSを知る新しいファンもいるかと思いますので、まず最初に簡単なプロフィールからお聞かせ下さい
CHRIS: TUNSは、マット・マーフィー、クリス・マーフィー(血の繋がりはないよ)とマイク・オニールの3人組。僕達はそれぞれ長年に渡ってバンド活動をしていて、マットはスーパー・フレンズ (The Super Friendz) とフラッシング・ライツ (Flashing Lights)、僕はスローン (Sloan)、そしてマイクはインブレッズ (The Inbreds)と、何枚かソロ・アルバムも出しているんだ。
MIKE:  僕はインブレッズというバンドをやっているんだけど、1995年にマットのバンド、スーパー・フレンズとツアーを周ったんだ。その時にスーパー・フレンズでドラムを叩いてたのがクリスでね。それからはずっと友達さ。そして最近は曲まで一緒に作るようになったんだ。

ー結成のいきさつは?TUNSとしてのファーストステップは何だったのでしょうか?
CHRIS: 2013年にマットと僕、あともう1人の友達(チャールズ・オースティン)とで、マイクのバック・バンドを務めたんだ。とても楽しかったよ!マットの仕事の関係で何年か会えずにいたんだけど、週に1度は時間を取れるようになってね。一緒にプレイすることについてたくさん話したよ。そこで、マイクと一緒にやりたいよね、楽しいよねって話になったんだ。
MIKE: たしか、クリスからの提案だったと思う。もちろん、そのチャンスに飛びついたよ!僕はマットとクリスが住んでいるトロントから飛行機で約2時間半かかるハリファックスに住んでんいるんだけど、トロント郊外に住む母を定期的に訪れることにして、その時にバンドのリハーサルにも入るようにしているんだ。

ーバンド名「TUNS」の由来は何ですか?
CHRIS: マットと僕はノバスコシア州ハリファックス出身、現在はオンタリオ州トロントに住んでいて、マットはオンタリオ州オシャワ出身、現在はハリファックスに住んでいる。そう、ハリファックスは僕達にとって縁のある街なんだ。TUNSはノバスコシア工科大学(Technical University of Nova Scotia。現在はダルハウジー大学)のこと。TUNSを含むバンド名の候補リストを作ったんだけど、実は僕達の誰もがTUNSという名前が好きではなかったんだ。でも、リストから名前をどんどん省いていった時に何故かTUNSは消されずに残ってね。そして、最終的にTUNSに決まったって訳さ。
MIKE: TUNS=ノバスコシア工科大学(Technical University of Nova Scotia)。

ー3つの言葉でTUNSを表現すると?
CHRIS: 「マット」「マイク」「クリス」(あたりまえすぎ?)…「ギター」「ベース」「ドラム」(一目瞭然)…では、「ポップ」「ロック」「ハーモニー」(これも普通?)
MIKE: 「ポジティブ」「エネルギッシュ」「調和(仲良し)」
MATT: 「ビタースウィート」「メロディック」そして「ファン」!

ー楽曲や動画などからは、あなた達のリラックスした雰囲気と仲の良さが伝わってきます
CHRIS: そうだね。最初は何をどうしようとか何に期待するかとかもわからなかったので、曲を書くために集まるのは何となくおかしかったよ。でも、このまま中途半端な感じでいいのか?っていうのはみんな感じてて。だから、即座にアイデアを形にしてみたんだ。とても素晴らしかったよ。それぞれ貯めていた曲のアイデアを使わずに、この3人の力でゼロから曲が作れるんだって実感した。それに気づいてからは、まるで昔から一緒に遊び歩いてる旧友のようになったよ。
MIKE: でしょ!僕にとっては自我からの脱却。心から笑って楽しい時間を過ごせるんだ。
MATT: 僕達はとても仲が良いんだよ。音楽的にもお互いの曲を楽しんでいるしね。

ーアルバムについてお伺いします。完成おめでとうございます。率直に今のお気持ちはいかがですか?
CHRIS: 実はこれ、発売日前日の8月25日に書いてるんだ。もしかしたら大成功するかもしれないし、その逆もあり得るけど、僕達は皆、古くからの友人と共にこのアルバムを作ることができて、とてもハッピーな気分なんだ!
MIKE: ありがとう!こんなにも興味を持ってくれて、僕もワクワクしているよ。友人とのこれからの冒険が楽しみでしょうがない。すでにブルックリンでアイランズ(Islands: ロサンゼルス郊外を拠点に活動しているバンド。メンバーはカナダ出身)のオープニング・アクトを務めたりもしてるしね。
MATT: ずっとこの時が来るのを待っていたような気がする。でも、正直に言うと、発売日って最もエキサイティングな日という訳でもないんだ。僕達の次のショーは確実にエキサイティングな日になるよ!

ー構想や曲作りはいつ頃から?何曲くらい用意しました?
CHRIS: 初めてのセッションは2014年。僕達はジャム・セッションをiPhoneに録音しているんだ。もう50以上になったかな。これらのファイルをまとめて、皆で気に入ったものを投票で選んで、仕上げにかかるんだよ。
MIKE: 曲作りを始めたのは2014年4月。いろいろな長さのリフを楽器だけでたくさん作った…およそ60くらいあったかな。そのアイデアの中から12個に絞って再構築し、歌詞を書き始めたんだ。こうして12の楽曲ができあがった。あとは各人がそれぞれ責任を持って自分のパートを仕上げていった。もちろん、歌詞などで行き詰まったりした時とか、お互いに助け合いながらね。
MATT: 僕達はたくさんのリフとメロディーを書いて、12曲を録音したんだ。 その中の9曲が、このアルバムで聴ける曲だよ。

ーレコーディングは順調に進みました?苦労した点などありましたか?
CHRIS: マイクはマットと僕とは離れた街に住んでいる。だから、マイクが地元にいる時はメールで少しやり取りをしながら、マットと僕で完成作業に取り組むんだ。もちろん、3人の同意を得た曲をね。それぞれ歌詞とメロディーを4曲ずつ担当したんだけど、たくさん情報交換をしながら無事に進めることができたよ。
MIKE: すべて順調に進んだよ。新曲ができるって、とても刺激的だよね。でも、君もよく知っていると思うんだけど、鮮度って大切だよね?すぐにレコーディングをしないと、その興奮が徐々に失われてしまうんだ。今回のレコーディングは、興奮を維持しながらスピーディーに進めることができたと思うよ。
MATT: 僕達は全ての楽器を同時に録ったんだ。多重録音を多用する今どきのレコーディング方法よりもプレッシャーはあったけど、大きな言い争いもなく無事にやり遂げることができた。

ーそれぞれの楽曲は作った人が歌っているのですか?(私はリードボーカルが誰かを予想しました)
Back among Friends – Matt
Mixed Messages – Chris
Throw It All Away – Mike
Mind Over Matter – Matt
Look Who’s Back In Town Again – Chris
Lonely Life – Mike
Mind Your Manners – Chris & Matt
To Your Satisfaction – Matt (not Chris)
I Can’t Wait Forever – Mike
CHRIS: 惜しい!”Mind Your Manners”のリード・ボーカルも僕なんだけど、ヴァース(Aメロ)でのシャウトがどうも気になってね。それでマットと2人で歌うことにしたんだ。2、3行は僕だけの部分もあるけどね。だいたい2、3曲ずつ…大部分はそれぞれ1人で書いているんだけど、このようにみんなで協力しながら曲として仕上げたんだ。そういった点で、ほぼ共作と言っていいと思うよ。
MIKE: ほぼ正解。よくわかったね!僕が歌っているうちの1つは、他のメンバーが歌詞を書いた曲だよ。

ー曲作りの秘訣や心がけていることはありますか?
CHRIS: 2人からはたくさんのことを学んだよ。僕達の音楽はとてもシンプルなんだ。だいたいヴァース(Aメロ)とコーラス(サビ)、2つのパートだけ。ブリッジ(Bメロ)はほとんどない。複雑なコード進行もなくて、メロディーもとてもシンプル。マイクは少ない言葉で歌詞を書くことが多いんだけど、僕はたくさんの言葉で書いてしまいがちで、少し減らそうとしたんだ。例えば “Look Who’s Back In Town Again”、すでに完成してたけど、マイクが「僕が好きなメイン・リフをメロディーが邪魔するようにしてしまうのは許さない」って主張したこともあったね。
MIKE: もしあなたが何も思いつかないとしたら、秘訣にたどり着くのはまだまだ先かな。人はときどき自意識過剰に陥って行き詰まることがある。そんなときに僕は賞賛に値する素晴らしいメンバー達をよく洞察するようにしてるんだ。あと、リラックスして歌うことも大事だと学んだよ。おかげで、僕自身の歌も演奏も前より良くなったと感じているんだ。
MATT: リスナーを楽しませたり驚かせるような曲を作りたいね! 

ーレコーディングで使用した主な機材を教えてください
CHRIS: 基本となるトラックは、スローンのスタジオでスローンの機材を使ってレコーディングしたよ。マットは自分のギターを使ってた。彼はフェンダーのテレキャスターとグレッチを何本か持ってるんだ。あとはマットの答えを参照してね。アンプは主に私の友人ライアン・ハスレットが所有している古いシルバートーンを使ってた。
MIKE: ベースは2本。両方ともフェンダーのビンテージで、プレシジョン・ベースとムスタング・ベース。アンプはトレイナー(Traynor : カナダのアンプ・メーカー)のYB3。本当に素晴らしいサウンドなんだ。ボーカル・マイクは全曲ビンテージのノイマンU87。
MATT: クリスが答えたとおり。あとはギルドの69年製スターファイヤー。レコーディング・ソフトはプロツールス(Protools)。 

static1.squarespaceージョン・レノンが描いたかのようなジャケットの絵ですね。誰が描いたんですか?
CHRIS: マイクが描いたんだ。僕達もみんなジョン・レノンの絵みたいだと思っていたんだ。僕はこの絵が大好きだよ!
MIKE: 朝食を食べながら、僕達の写真を見て描いたんだ。ジョン・レノンの絵に似せようとは思っていなかったけど、比較されるのは僕もわかる気がする。でも、本当に描いてよかったよ!見てるとワクワクするんだ。Tシャツも素敵なんだよ。
MATT: あと、CSN&Yの『So Far』も想起させるよね。

ーアルバムの聴きどころを教えてください
CHRIS: それは難しいなぁ…
MIKE: 曲として僕が好きなのは”Back Among Friends”、奇妙なギターとサウンドの”Look Who’s Back In Town Again”も好きだな。
MATT: Mixed Messages”のサビ、あとマイクが歌う”Throw It All Away”も良いね。

ー音楽産業は以前とは比べものにならないほど変化しました。この変化をミュージシャンとして、どう感じていますか?そして、この変化はあなたに何をもたらしたでしょうか?
CHRIS: 音楽業界について僕がとやかく言うことは特にないな。うまく立ち回る術も思いつかないし。ただ、素晴らしい作品を作り続ければ、必ずそれを探している人々に届く、単純にそう思うんだよね。
MIKE: 僕はそこまで変わったとは思ってないんだ。僕達の音楽を伝える最高の方法はライブだと今でも思ってる。たしかに、ソーシャルメディアを使ったプロモーションは画期的なことだけど、ライブにはたくさんの楽しい面があるんだ。たぶん、レコードを売るのはこの先ますます難しくなっていくだろうけど、90年代だって売れないものは売れなかった訳だからね。
MATT: 僕は45回転(7インチEP盤)のレコードがあった頃のようなアルバムの作り方が好きなんだ。たとえばバズコックス『Singles Going Steady』みたいにクールなB面曲も入っているようなシングル集。僕達のレコードも、あのアルバムみたいにたくさんのシングル曲が入っているような感じだと思うんだ。

ーもしも無人島に5枚持っていくとしたら?
CHRIS:
ザ・ビートルズ『ホワイト・アルバム(The Beatles)』
セックス・ピストルズ『Never Mind The Bollocks』
ディセンデンツ『Milo Goes To College』
マイナー・スレット『Out Of Step』
ジョニ・ミッチェル『Blue』
MIKE:
ブッカー・T & ザ・MG’s『Greatest Hits』
サム&デイヴ『Greatest Hits』
スライ&ザ・ファミリーストーン『Greatest Hits』
ザ・ビートルズ『Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band』
ザ・ビーチ・ボーイズ『Pet Sounds』
…ありきたりかな?だけど正直に選んだ5枚だよ。
MATT:
ヴァン・モリソン『Astral Weeks』(神を見つける必要があるから)
ザ・クラッシュ『London Calling』(小屋といかだを作る時のサウンドトラック)
フリートウッド・マック『噂(Rumours)』(郷愁にふけりたい時に)
ザ・コンゴス『Heart of the Congos』
冨田勲『月の光(Snowflakes Are Dancing)』(心を無の境地に)

ーあなたにとって ”音楽” とは?
CHRIS: 音楽は僕の人生を変えたし、僕という人間を確立させてくれた。かつてのように新しい音楽から僕自身が影響を受けるようなことはないけれども、それは今の音楽がダメだからという訳ではないんだ。子供の頃に影響を受けた音楽の方が強烈に印象が残っているから、それはしょうがないこと。いまだに当時の音楽を聴くと興奮しちゃうしね。
MIKE: 音楽は何も考えていない時でも頭の中に流れてくる。私の曲とか誰の曲とか関係なく、ね。まさに血流、なくてはならないもの。楽曲のことを考えないで過ぎていく時間なんて想像できないよ。

photo by Vanessa Heins

ーTUNSの未来像を教えてください
CHRIS: 未来のことは誰にもわからないけど、これからもずっとこの3人でやり続けたいと心から願っている。僕達はすでにセカンド・アルバムの曲を書き始めているんだ。
MIKE: どうなるかはわからないけど、うまくいくことを願っているよ。人は誰でも共同精神を持っているし、素晴らしいタイミングで集まった大切なメンバーと一緒だからね。

ー今後の活動予定は?私達は、いつでも待っていますよ!
CHRIS: すでに新しいセッションを始めてるんだ。次のアルバムまでの間、できる限り多くのショーをしたいと思ってる。
MIKE: OK! 待っててね!
MATT: 大勢の前で演奏したいね。

ー最後に日本のファンにメッセージをお願いします
CHRIS: 幸運にも僕は今までに4回日本へ行ってるんだ。3回はスローンのツアー、あとの1回はプロモーションでね。とても興奮したよ。日本の皆さんはとても親切に迎えてくれたし、僕達の音楽に対しても、とても好意的だったんだ。スローンはもう15年以上日本を訪れていないなぁ…僕はまた行きたいと願っているし、いつの日か必ず行こうとは思っている。でも、スローンではどうしても旅費などのコストが嵩んでしまうという問題があってね。TUNSでならその辺の問題をクリアーして日本に行けるんじゃないかなと考えているよ。
MIKE: 近いうちに必ず会おう!皆さんの前で演奏できる日を楽しみにしているよ。
MATT: 会いに行ける日が来ると願ってるよ!

TUNS official http://tunsband.com/