【Interview】スイスカメラ swiss camera

8月に発売されたファースト・フル・アルバム「酸素と丘とレンズ O, Hill and Lens」が好評を博しているswiss camera。結成から15年を迎えた彼ら、そのレンズの向こうに広がる景色とは?リーダーの西崎憲さん、ヴォーカル、ヴァイオリンの梶山織江さんにお伺いしました。

swisscamera_0830 (1)ー今回のインタビューで初めてswiss cameraのことを知る新しいファンもいるかと思いますので、まず最初にバンドの簡単なプロフィールからお聞かせ下さい
西崎:今回は取り上げてくださってありがとうございます。スイスカメラ(swiss camera)は、インディーポップ/ロックのバンドです。2000年代になってからいまのメンバーになりました。
音としては、UK、ギターポップ、インディートロニカの要素にヴァイオリンが加わったものです。日本のインディーのアーティストたちにも影響を受けています。
メロディーにたいする嗜好は、最近の音楽の傾向とは少し違うかもしれません。まだグッドメロディーというものが存在すると思っています。
あと、すごく先鋭的な音作りも気になるのですが、その反面物理的に心地いい音を作りたいという意識もあります。

ーアルバム『酸素と丘とレンズ』完成おめでとうございます。率直に今のお気持ちはいかがですか?
西崎:とても嬉しいです。びくびくしながら出したのにすごく良いことをたくさん言っていただいてますし。

ー音源のリリースは2002年のミニアルバム『about our life』以来、約14年ぶりですね。何故これだけ長きに渡ってリリースがなかったのでしょうか?そして、何故今このタイミングでリリースすることになったのでしょうか?
梶山:前作リリースから8年くらいライヴ活動は休止してました。その後再開して、フルアルバムも作ろうと、少しずつリリースに向けて動き始めました。
西崎:『about our life』の後も、ライヴはやらなかったのですが、録音や楽曲提供はやっていました。なかなか積極的な活動ができなかったのは、私が忙しかったことが大きいです。ほんとにメンバーにすまなかったです。でもそのあいだに『酸素と丘とレンズ』の基礎がゆっくりできていきました。

ータイトル『酸素と丘とレンズ』の由来を教えてください
梶山:タイトルは皆で思いつくのを出し合い、決まる直前には“ペットショップの怪事件”なんていうのもありましたね。 最後は西崎さんの考えた“酸素と丘とレンズ”になりました。
西崎:漠然と名詞が三つ並ぶのがいいように思って寝たら、朝浮かんでました。

ーアルバム制作に際し、コンセプトなどはあらかじめ決まってからレコーディングや曲作りに入ったのでしょうか?
西崎:そこまでのコンセプトはなかったのですが、自分たちの考える世界標準の音楽を作りたいという意識はちょっとあったように思います。できてるかどうかは分からないのですが。

ー曲作りはいつ頃から?何曲くらい用意しました?このアルバムの為に書き下ろした曲はありますか?
西崎:ミニアルバムが終わってずっと曲は作っていたので、曲はけっこうありました。20数曲くらいのなかから選んだ感じです。すべてが書き下ろしとも言えますね。

ーレコーディングは順調に進みました?苦労した点などありましたか?
西崎:時間はかかりましたが、おおむね順調でした。楽しかったですよ。スタジオにいる時が一番幸せです。一番苦労したのはミックスダウンでした。仕事も含めて最高に時間をかけたミックスダウンでした

ーどの楽曲の歌詞も情景が浮かんくるような日常のひとコマなのに、どこか夢の中にいるかのような、現実的なのに現実離れしているような錯覚に陥ります
梶山:呼吸している一番近いところの温度の変化みたいなのが表せたらなぁと思いますね。
西崎:そう言われてみると、たしかに目に見えることを歌っているのだけど、目に見えないことにつながっているかも。
でも、現実の小さなこと、思い浮かぶことを歌詞にすると、けっこうドリーミーになる気もします。
明日は休日だからカーテンを買いにいこう、みたいな歌詞が好きなのですが、そういうものってどことなくドリーミーな感じしませんか。
歌詞って「きみがいるからぼくは生きられる」みたいなもののほうが一般的になのかもしれないけど、なぜかそういうほうがわたしには非現実的に見えるんですよ。

ーswiss cameraサウンドの大きな特徴に、ヴァイオリンの音色が挙げられます。時に格調の高さを、時に牧歌的な優しさをもたらしていると感じています
西崎:たしかにヴァイオリンがこれだけフィーチャーされるポップ/ロックってそんなには多くないですよね。でも、ヴァイオリンの表現力ってすごいと思います。とにかく対応力のある楽器でどんなジャンルでもいけると思います。今回はやっていないのですがエレクトロニカ的なものプラスヴァイオリンってのもやってみたいのです。
ヴァイオリンをどのくらい入れるかはかなり重要なので相談しながらやっています。ストリングスにしてバックにするのも、ソロにするのも自在ですね。
余談ですが、梶山さん、いつも表記が「バイオリン」なんですよね。なんかそういうところも面白いです。

swiss_jacket2ージャケットのデザインもswiss cameraの音楽性をよく表していますね
梶山:昨年のある朝、家の近くで孵化したばかりのてんとう虫を見つけて凄く感動し、それがずっと心に残っていたのでしょうね、ジャケットの絵を描く時に思い浮かびました。
西崎:とにかくインディーっぽいジャケットにしたいというのはすごく思ってました。アート的だったり商業的に洗練されてるってのはちょっと肌にあわないです。梶山さんが味のある絵が描けるので、ちょうどよかったです。
意図した以上に力が抜けている感じで、ああインディーだあって思います。

ー今作の聴きどころ、ハイライトを教えてください
西崎:これは個人的にしか言えないですね。全曲すごく力を入れてるので、ハイライトってなんかしのびないです。
でも「Beautiful World」「アニメの世界」のワンアンドオンリーの感じ、「イダーレイン」の空間の広がり、「車の時間」の速度感、「ムービートラベル」の後半のヴォーカルが達した領域、「はじめてだこんな気持ち」に現れたこの世界の美しさとか、作っていて感じたそういうことが少しでも共有できるものになっているといいなって思います。

ー3つの言葉でswiss cameraを表現してみてください
西崎:個人性』
良い悪いではなく、『酸素と丘とレンズ』はとても個人的なものだと思います。
『ポップ/ロックの普遍性』
メンバーが聴いてきた音楽へのオマージュでもあります。
『挨拶』
すべての人への挨拶としての音楽。

ーお二人の曲作りの秘訣は?
梶山:秘訣は特にないのですが、スイスカメラの曲を書く時は自由に思いつくままに書いていまして、それがボツになることもありますが素の自分で楽しく書いています。
お仕事で作らせて頂く時は ある程度制限がありますので直したり、彷徨ったりの時もありますが、その歌う方の事や場面を想像したりするのはまた楽しいですね。 どちらにしても書かせて頂けるのは本当にありがたいです。
西崎:うーん、勘というかなんというか。どうしても作れない時は、好きな曲を分析したりもしますね。ほかの人に書くときは大抵要望があるので、それにそってかつほかの人がやらないような曲をって考えます。

ー西崎さんは音楽以外にも執筆や翻訳などマルチな活躍をされてますが、創作は互いにリンクするものなのでしょうか?それとも全くの別物ですか?
西崎:主観としては音楽も小説も翻訳もまったく同じ気持ちでやっています。でもそれぞれのジャンルでできたものは、あんまり似てないんですよね。どれも感触が似ているとしたらすごくいやだろうから、それはありがたいなって思ってます。
でも音と言葉は違うものですよね。文章は理詰めで書けるところもありますが、音楽を理詰めでやったら面白くないでしょうし、理詰めで弾いたギターなんて誰も聴きたくないでしょう。
主観としては同じなのですが、 知らないうちにOSを切り替えてるっぽいです。

swiss16_9_2from_kajiyama02ー音楽産業はインターネットの普及などにより以前とは比べものにならないほど変化しました。この変化をミュージシャンとして、どう感じていますか?そして、この変化はあなたに何をもたらしたでしょうか?
西崎:これはほんとうにもう十年以上考えていることです。CDは売れなくなったし、さらに音楽は職業から遠くなりました。無料で幾らでも聴けるようなところもあるし、定額聴き放題なんてのもある。マイナスだらけのような気もします。
でも、ようやくこれでほんとのDIY( Do It Youself)ができるようになった気もして、ちょっとすがすがしいです。
もう数十年のあいだ面白い音楽を生みだしてきたのはインディーだけだし、もうそれで行きましょうよ、という感じ。
世界中のインディーよ、自宅録音マニアよ、インターネットでつながろうよ、という感じで、いまはけっこう前向きな気持ちです。

ーもしも無人島に5枚持っていくとしたら?
西崎:うーん、本気で考えたらこれ死にますね。バンド名で勘弁してください。あといまの気分です。
バッドブレインズ ハードコアで一番好きです。
ステレオラブ インテリジェントでチープ!
ハーパーズ・ビザール ソフトロックのパラダイス
ロー スローコアで落ちつきます。
スマート・ウェント・クレイジー ポストハードコアすごく好きなのですが、これがそのなかでも一番好きかな。

ー最近の音楽でシンパシーを感じるバンドやアーティストはいますか?
梶山:Twitterでフォローさせて頂いているアーティストの方で沢山いらっしゃいます。凄く刺激になりますね。
西崎:めちゃくちゃたくさんいます。アラーラス、ミスター・ツイン・シスター、 Lamp、青葉市子などなど。

ーお二人にとって”音楽”とは?
梶山:苦しく楽しい無限なものですかねぇ。
西崎:そりゃあ、血とか肉ですよ。

ー今後の活動予定を教えてください
梶山:9/25(日) にレコ発記念ライブが下北沢モナレコードでお昼からあります。出演はビンビールズ、The Caraway、スイスカメラ、2000円(+ドリンク)です。
それからもうひとつ、11/20(日)philia records 主催小林しのさん企画
ライヴイベント “空色メロディ”にも出演させて頂く事になりました。
こちらの出演は、小林しの、ユメトコスメ、ポプリ、さとうもか、スイスカメラ、
DJウチタカヒデ、お菓子milky pop です。
場所は同じ下北沢モナレコードで、前売り2500円、当日2800円(+1ドリンク)です。チケット予約は9月20日からです。

ー最後にファンの皆様にメッセージをお願いします
梶山:スイスカメラを聴いて下さっている方々に本当に感謝しています。音楽を通して沢山の方と楽しく繋がりが持てたらなぁと思います。これからも宜しくお願い致します!(梶山)
西崎:音楽ファンとして色々作っていきたいです。つぎのアルバムは1年くらいで作りたいです。(西崎)

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スイスカメラ swiss camera バイオグラフィー
2001年 結成
2002年 ミニアルバム『about our life』リリース
2016年 ファーストフルアルバム『酸素と丘とレンズ』リリース
梶山織江…ヴォーカル、ヴァイオリン、キーボード
国立音大ヴァイオリン科卒業。初期の岩井俊二のドラマの音楽の作曲を担当。堀江由衣、野中藍、鈴木真仁、小林沙苗などの楽曲の作詞作曲を担当。
西崎憲…コーラス、ギター、キーボード、各種管楽器
おにゃんこクラブで作曲家デビュー。「ハイスクール奇面組」EDなどを作曲。堀江由衣などの楽曲のアレンジ多数。作家でもある。2002年ファンタジーノベル大賞受賞。
2016年のフジロックにて Trashcan Shinatras のサポート(トランペット)を担当。
阿部昭彦…ベース
ファンクバンド「プランチャー・チョップスティック」のベーシストも兼任。
川島浩平…ドラム、パーカッション

スイスカメラ swiss camera ディスコグラフィー
『about our life』2002年12月7日発売, 1260円, dog and me records, DAMR-7001
1.  It May Be GO!
2. キャッチボール
3. Yellow Bird
4. オペラのすべて
『酸素と丘とレンズ』2016年8月10日発売, 1836円, dog and me records, DAMR-7006
1. Beautiful World
2. 車の時間
3. マッチ棒とマッチ箱
4. はじめてだこんな気持ち
5. ニメの世界
6. サイダーレイン
7. ムービートラベル
8. ライナーノーツ
9. あの時ぼくは青空を汚したかったんだ
10. 緑の家
http://dog-and-me.d.dooo.jp/

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