Those Pretty Wrongs

Those-Pretty-Wrongs-compressed音楽史にまた新しいページが刻まれました。Big StarのJody Stephens、そしてThe FreewheelersのLuther RussellのユニットThose Pretty Wrongs、待望の1stアルバムです。The Freewheelersといえば、先日のThe Jayhawksレビューの頁でもちょっと触れましたが、このThe Freewheelersも同じくDef American(すでにAmericanになってたかも)から96年にアルバム「Waitin’ for George」を出していまして、その頃の僕は例に漏れず黙って購入した訳です。”Joe Cockerの再来、90年代のMad Dogs & Englishmen”と言われたしゃがれ声シャウトとピアノが魅力のアーシーで泥臭いバンド・サウンドは当時の僕の大好物でありました。その後、ソロとしてのキャリアを重ねたLuther、現在ではプロデュース業も含めアメリカン・ロック界に確固たる地位を築いています。Jody Stephensについては、もう説明不要ですよね。
そんな2人なのですが、出会いのきっかけは2012年、Big Starのドキュメンタリー映画「Nothing Can Hurt Me」のプロモーション・ライブに、JodyがLutherを誘ったことから始まります。意気投合した2人は、曲作りをしながら友好を育んでいきます。Lutherも自身のツアーがない時は、LAからJodyが働くメンフィスの有名なArdent Studiosまで(およそ1600マイル=2500km!)通うことも多かったそうです。歳月と共に信頼の絆を深めながら、完成したのがこのアルバム「Those Pretty Wrongs」です。
注目の1つは(ちょっと意外な気もしますが)Jody Stephens、63歳にして初のリード・ボーカル・アルバムだということ。”何故もっと早く歌わなかったんですか?” と思ってしまうくらい魅力的で、アコースティック・ギターの音色にとてもマッチする素朴で温かみのある歌声です。ハーモニーが美しい#1、The Byrdsを彷彿とさせるジャングリーな#2や#5、60sポップス的でかわいらしいピアノで始まる#4は、1分30秒あたりからの展開が聴きどころです。#6はサンシャイン・ポップのお手本のような曲。ストレンジな#7は歌詞に出てくるとおりのサーカス的な怪しい雰囲気で、アルバムの良いフックになっています。#9はBIg Starを思い出させてくれます。影響を受けた世代(Teenage Fanclubなど)のファンの方もきっと好きになるかと思いますよ。穏やかな#10で、この記念すべきアルバムは幕を閉じます。Lutherの献身的なプレイ、コーラスも、Jodyへのリスペクトを感じとることができ、非常に好感が持てます。
正直に申しますとアルバムが発売されるまでは、もっとフォーキーな曲ばかりなのではないかと想像していました。発表された全10曲はバラエティに富んでいて、良い意味で予想を遥かに超えていました。
レコーディングに使用した機材は、その大半がBig Star時代のものだそうで、ドラムはJodyの「Radio City」と「Third」、ギターはアコースティック、エレキともにChris Bellが「#1 Record」の時に弾いていたものとのこと。これを聞いただけでも、胸が熱くなりますね。ロマンを感じます。アコースティック・ギターを主体とした#1や#3、#8などからは、音色の向こうにChris Bellの面影が見えるかのようです。
Big Starファン、ルーツ・ロック、フォーク・ロック・ファンだけでなく、ギター・ポップやスコットランド周辺の音楽ファンの方々にも聴いていただきたいアルバムです。
  1. Ordinary
  2. I’m For Love
  3. Lucky Guy
  4. Empty City
  5. Thrown Away
  6. Never Goodbye
  7. The Cube
  8. Start Again
  9. Mystery Time
  10. The Heart

official : http://www.thoseprettywrongs.com/